JJF VOICE Vol.2 – 里海泊事業推進協議会

奇跡の宝石を生む町、伊勢志摩

ニッポンの真珠を世界に発信していく



里海泊事業推進協議会 事務局長 
中村雄一さんインタビュー

写真)里海泊事業推進協議会 事務局長 中村雄一

 

 

志摩は昔から「御食国」(みけつくに)と称されてきたほどに豊かな水産物に恵まれ、同時に真珠養殖産業発祥の地としても世界的に有名。伊勢志摩の真珠養殖産業と海女漁は「日本農業遺産」にも認定されています。志摩市の全域が伊勢志摩国立公園に指定されており、真珠筏が浮かぶリアス海岸など美しく豊かな自然が残されています。志摩市は2016年のG7サミット開催地として、世界的に情報が発信されたことは記憶に新しく、 2021年度は太平洋・島サミットの開催地に決まっている。三重の真珠業者は、「サステイナブルな宝石」として真珠のPRを関係諸国共に発信していきたいと表明しています。



今回のインタビュアーは、里海泊事業推進協議会事務局長、そして三重県真珠振興協議会副会長として、日本の真珠(ジャパンパール)を世界に発信していくため、方々に活動を広げている中村さん(有限会社P・J中村インターナョナル代表)。 弊社メンバーも昨年末に伊勢志摩真珠体験ツアーに参加させていただき、実際に養殖場を訪れ、真珠に対する造詣を深めることができました。実際に自分のこととして体験すると、さらに真珠の魅せられ、愛着がわきました。 地域活性化に尽力していく中での取り組みと、その活動に懸ける想いを伺いました。








―里海泊事業推進協議会事務局長、そして三重県真珠振興協議会副会長として、ニッポンの真珠を世界発信していくため、
一番大切にしていることは何ですか?





真珠は世界最古の宝石と言われています。他の宝石と違って研磨などを行わない状態で美しいものです。天然真珠から養殖真珠の時代に変わり、一部では養殖真珠を天然真珠よりも下に見るような意見があります。しかし、一粒の美しい真珠ができる背景に隠された多くの工程や、その美しい真珠が育まれる環境を人々がどのように支えているのか?「自然と人間が合作した宝石」である真珠の物語と魅力を伝えていきたいと思っています。

 







―伊勢志摩真珠体験に2019年に参加させていただき、ありがとうございました。
真珠にまつわる歴史や貝ムキ体験など、直に真珠に触れることで、真珠への造詣が深まりました。
今後は新しいツアーを企画されているのでしょうか?





遠路はるばる来ていただきましてありがとうございました。
潮の匂い、海上での風、筏の揺れ、養殖業者との
対話、そしてアコヤ貝の感触……五感で真珠を体感していただけると、また違った感情を真珠に持っていただけるといます。これまでツアーに参加して頂きました宝飾業界関係者の皆さまからはツアー後に「真珠を粗末に扱っちゃけないと認識しました」などのコメントを頂いております。
また海外の小売店業者の方々からは「三重県の真珠養
場を見学に行った事実は販売時に大きな武器になる」との感想もありました。真珠振興につながる活動だと思いますので、2020年も企画を色々と考えています。



2019年度に開催したJJFとのタイアップ企画などは継続して行いた
いと考えております。2021年度には国際宝石学会(IGC)が東京で開催されます。国際宝石学会後に、各国の著名な宝石学者の皆さんに志摩へ来ていただき、真珠養殖場を体験していただく予定です。




 

写真)伊勢志摩真珠体験ツアーにて 真珠養殖技術を間近で学ぶ海外の方たち









―香港フェアのなかでもっとも人気があるジャパン・パール・パビリオン。他の真珠に比べて、日本の真珠の魅力(特に伊勢志摩の真珠)は何だと考えますか?





シルバートーンのオーストラリアの真珠は大きくて迫力があります。フィリピンやインドネシアのゴールドパールも魅力的ですし、タヒチアンパールの色のバラエティは見ていて楽しいです。そんななかで、日本のアコヤ真珠の魅力やはり四季が織りなす”テリ”と”透明感”だと思います。ピンクのオーバートーンを纏ったアコヤ真珠はやはり美しくて魅力的です。








―世界に向けてジャパンパールを発信していくうえで、意識していることを教えてください。





ジャパンパールにふたつの意味があります。

ひとつは日本産アコヤ真珠。これに関しては前述した
ように、真珠そのものの魅力と、その背景にある物語をツアーやセミナーなどを通じて広げていきたいです。

もうひとつは日本製真珠素材、あるいは製品のことです。香港フェアにおけるジャパン・パール・パビリオンの人気の理由として、アコヤ真珠を含めた幅広い品ぞろえ、そして伝統と経験に裏打ちされた日本製品への信頼があります。
アコヤ真珠だけではなく、白蝶や黒蝶の真珠も日本の会社から買いたいという需要は大きいです。
サイズや品質
選別の精度や、ネックレスの仕立てなどは他国と比較すると大きな違いがあります。この信頼を裏切らないよう正確な商品情報の開示を心がけています。





 

 






―日本の真珠に関する知識を学びたいというバイヤーも多く見かけます。今後の教育セミナーの
開催などの予定があれば教えてください。





日本真珠振興会では真珠検定のメンバーが積極的に展示会でセミナーを行っており、日本真珠輸出組合でも香港フェアでセミナーを行っています。
私たちの活動としては日本貿易振興機構(JETRO)でセミナーと貝ムキ体験会を2年
連続で実施していますまた東京日本橋の三重県のアンテナショップ”三重テラス”のイベントスペースを使って年に数回、一般向けにも同様の体験を行っています。これらの活動は2020年も継続して行う予定です。

海外のプロの方
へのオファーもあったのですが、先行きが不透明で白紙の状態です高くなったインバウンド需要と海外市場を見据えて様々な企画をこれまでどおり準備しているので、一日も早く皆さんが笑顔で真珠を楽しめる状態に戻れますように祈っております。

 

写真)三重県真珠振興協議会のWEBより





お話を聞かせていただき、ありがとうございました!

 

おわりに

 

弊社櫻井も2019年末に伊勢志摩真珠体験ツアーに参加させてもらいました。”奇跡の宝石”の名の通り、一つの真珠が生み出されるまでの過程を五感で感じ、これまで以上に真珠に対する愛着が湧きました。最近ではパール製品の着用率がぐっと上がりました。

中村さんの真珠に対する人並みならぬ熱い思いと、国内外に対しての正しい知識の教育や真珠産業の更なる復興を精力的に行われている姿がいつも印象的です。海外における日本のものづくりや品質・活動に対しての評価は非常に高いことを実感させられるのが、海外ジュエリ―ショーでのジャパンパビリオン。私たちが誇れる素晴らしい魅力をどんどん発信していくためにも、JJF内でも大好評の真珠セミナーを今年も開催予定です。弊社も一丸となってPRしていきます!






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記事:インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社 櫻井宏美

里海泊事業推進協議会

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