JJF VOICE – KAJITA

宝石の見極めから制作まで一貫

創業100年を迎えるKAJITAの思いとは


―株式会社梶田 代表取締役社長 梶田謙吾さんインタビュー

写真)代表取締役社長 梶田謙吾

カラーストーンジュエリーを展開する株式会社梶田(以下、KAJITA)は2020年、創業100周年を迎える。
1920年、浅草にKAJITAの前身である梶田商店を開業。「ジュエリー」という言葉に馴染みがなかった当時から、
ラーストーンジュエリーを制作。天然宝石の輸入が自由化した1961年以降は、最良の宝石を求めて世界中の産地
出向いた。そこで培われた宝石を見極める眼と、長年に渡る輸入取引のノウハウを積み上げ、今日のKAJITAの礎を築いています。

「信頼されるものづくり」と「それを最高の形でお客様に届ける」ことを継続しつつ、現代にあった価値を生み出すKAJITAについて、同社代表取締役社長の梶田さんに伺いました。




―創業100周年おめでとうございます。節目を迎えたタイミングで
社長交代もされま
したが、
意気込みや今後の国内外含む事業展開の方向性や展望を教えてください

ありがとうございます。私の意気込みを語る上で、少しKAJITAの歴史についてお話しさせてください。
当社は初代梶田久治郎が1920年に現在の東京都台東区蔵前で創業し、当時は喫煙具や紳士用小物を製造販売する梶田久治郎商店」という屋号で、欧州に輸出をしていました。戦後、2代目にあたる私の祖父が宝飾品事業で独立したことが、今のKAJITAの前身となっています。
日本が復興し豊かになっていく時代の流れにのり急成長を遂げ
ました。
その後、
現会長である梶田行雄の代となり、トップ品質のカラーストーンを扱う「色石の梶田」として、独自のポジションを築きました。同様に海外のサプライヤーとも連携し、新しく産出する宝石の普及にも力をいれてまりました。

写真)「梶田久治郎商店」創業時 蔵前にて

歴史を振り返って思うのは、その時代ごとに扱う商品も、販路も、また強みも変化し続けてきたという事実です。
私が会社に参画した2007年より海外の販路拡大も取り組んでおり、2019年にシンガポールの百貨店内に店舗を構えました。2018年には創業の地である台東区を離れ、港区南青山に本社を移転しました。新社屋にはショールーム兼サロンを備え、世界中のお客様にKAJITAのジュエリーを見てもらえる体制が整いました。

私は「信頼されるものづくり」と「それを最高の形でお客様に届ける」ことを継続することが、商売の原点だと思っています。そのことを念頭に置きつつ、今の時代にあった価値を生み出すKAJITAに柔軟に変化していきたいと考えています。

左)代表取締役会長 梶田行雄 右)代表取締役社長 梶田謙吾

―JJFには皆勤賞でご参加いただいております。

JJF継続出展のメリットを、経験を交えながら教えてください。

私たちがこの商売で最も大切に考えていることが「継続」することです。

時代の中で、ある点を切り取ってみるとよ
い時期もあれば悪い時期もあります。それでも、「時間」を味方につけて、お客様の期待に応え続けることが、ジュエリーという人の一生よりも息の長いプロダクトを扱う事業としての使命だと思っています。JJFへの継続出展を取り止めようと思ったことは一度もありません。そこには常に真剣に商材を探しているバイヤーの方々がいらっしゃいます。ずっと我々を知ってくださっていて、今年初めてKAJITAで買ってみたという方もいらっしゃいます。

ひと
つの展示会をスポット販売の場としてではなく、取引開始のきっかけとして見た時、JJFは国内ジュエリーの展示会の中は、一番適していると考えています。

―独自の品質基準がありますが、同業他社と大きく違う点について教えてください。





宝石を選ぶ際の品質基準について、明文化されたマニュアルがあるわけではありませんが、「カジタ・クオリティ」と言った時に、社内で「ここまで」と多くの社員が線引きできる基準があります。それは、時間をかけて社員に伝承してきた柔道の「型」のようなものです。
「その石の魅力を見つけなさい」と当社の最古参バイヤー木塚(71)は言
います。おそらく他社よりも時間をかけて、一つ一つの宝石と向き合っていると思います。そういったことが完成品のジュエリーにも表れているのではないでしょうか。

左)代表取締役会長 梶田行雄 中央)代表取締役社長 梶田謙吾  右)常務取締役営業本部長 豊田哲也 

―ビジネスで学んだ5つの教訓を教えてください。





1.商売人魂でおもしろく - 売り手よし、買い手よし、世間よし、という近江商人の「三方よし」の考え



決して利己的にならず、お客様もそして世の中も満足してもらうことが商いの理だという考え方は、現代のSocialGoodという概念と同じものだと思っています。KAJITAはジュエラーである以前に、商売人ですので、それが原点だと思っています。



2.謙虚に学ぶ



常に変化する世の中において、経験をベースとして動くだけでなく、周囲のすべての事に興味を持ち、学ぶ姿勢は大事だと考えています。



3.心を動かす仕事を



人の「想い」や「つながり」を大事にしてきたのがジュエリーの仕事。AIとビッグデータの時代にあって、その揺り戻しとして「クラフトマンシップ」や「マインドフルネス」が注目されているように、そこに必ず人が介在していることがこの仕事の価値だと思っています。
「その人から買いたい」「その人が提供するからワクワクする」というように、誰かの心を動かす仕事をしなくてはいけないと思っています。



4.時間を味方につける



宝石という数億年以上かけて地球が育んできたものを商材として扱う以上、短期的な浮き沈みに拘泥する事なく、余裕を持って、先を見越した大きな視座で物事を判断することが必要。そのために時間を味方につけて、じっくりと取り組む必要があると考えています。



5.魅力を見いだす



カラーストーンには、見比べると一つ一つの石に、必ず異なった「魅力」があります単なるよし悪しではなく、その石の「魅力」を見い出し、大事にしたいと思いながら石を選びます。人も同じです。一緒に仕事をする仲間に対しても、それぞれの持つ個性や魅力を引き出してあげようといつも考えています。

写真)代表取締役社長 梶田謙吾

―最後に、2020年の成長の見通しを教えてください。





41歳になり。日本では厄年になります。しかし、年初にシンガポールで干支占いを見ると、未年(ひつじどし)は十二支のなかで、もっとも成功する干支に選ばれていました。創業100周年は私の社長1年目なので、フレッシュなと、軽快な行動で新たなことにどんどんチャレンジしたいと思っています。





本日はお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

おわりに



カラーストーンでお馴染みのKAJITA。2019年ジャパンジュエリーフェアの広告や招待券のメインビジュアルともあり、ご存じの方も多いですよね。国内外からも好評を得ておりました
時代の変化に柔軟に対応しながら、継続することで成長を重ねてきた、梶田さんの思いが詰まったインタビュー。言葉の端々から、梶田さんの熱意が伝わってきました。会長である梶田行雄さんのパワフルさや、しなやかさが魅力の豊田哲也さんを含め、梶田さんの周りには同じ思いを持つ人が集まり、笑顔が絶えない印象です。

10月開催のジャパンジュエリーフェア2020では、どんな個性を持ったKAJITAクオリティの商品が展示されるのか、今から待ち遠しいですね。


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記事:インフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社 櫻井宏美

株式会社梶田

Web:http://kajita1920.jp/